鏡の夜T

 ――いったい、自分は酔っているのか、いないのか。
 どれほど思考をめぐらせても、美優にはどうしたってそれがわからなかった。
 安アパートの二階の、畳ではなくフローリングで、それでも空間を広く持ちたいからと、ベッドは入れなかった。くたびれたカーペットに、これまたくたくたの蒲団をしいて、そこにうつろなまなざしをただよわせる美波を寝かせた。あかりはひとつだけ残して、部屋はオレンジ色の淡い暗さのなかに沈んでいる。
 寝かせて、そのまま眠らせるつもりだった。
 成人してまもない後輩が、今夜はじめて酒に心身を染めて、酔っておぼつかなくなったのを、当然のことであるような、同時に珍しいものを見たようなふしぎな気持ちになりながら、やはり危なっかしいありさまが心配になって、美優は自分の家がいちばん近いからと言いはって連れ帰ったのだった。
 ほんとうにいちばんかはさだかではなかった。早苗のアパートとの距離を比較すると微妙なところかもしれない。そもそもタクシーをつかえば美波本人の家をひっくるめたってまたたくまに誤差になるようなものである。
 それなのに、酔った若い女ふたりっきりで、夜道を歩いた。異常であるといえばそうとしか言いようがないことを、美優は言って、実行したのである。
 蒸し暑い夏の夜空に、涼やかな風など幻に等しかった。酔いと暑気で火照った体をひきずって、そんな道を歩いたのだった。

 酩酊した頭ではどだい正常な判断などきるはずもないのだ。自分は酔っている。だから正しい思考も正しい判断もできない。
 冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルをとりだすと、それをグラスにうつして、美優は音をあまりたてないように壁に背をはりつけて、ずるずると座りこんだ。一口水を飲んで、美波のほうを見る。
 蒲団によこたわる美波はまだ眠っていないようだった。眠ってくれないとこちらも眠れないのに、と思いながら、美優はまた水を口にふくんだ。
 虚空をさまよう目線がときどき、数秒ほどじっと美優を見ていることがある。そのときだけ、美波の酔眼はそのうつろさからまぬかれているような気がした。それが、気のせいなのか、どうか。
 ――わたしはなにをしているんだろう。
 否定するようにゆるく首をふると、よけいに頭のなかがにごってゆくようだった。
 溜息を吐くとむっとするような熱がひろがる。
 ――熱い。
 と思ったとき、冷房をつけ忘れていることに気づいた。むろん窓は開けていない。美優はひたいににじんでいた汗を指できると、ゆったりと体をもちあげて、うす明るい部屋をみわたした。リモコンはタンスの上にあった。手にとりスイッチをいれる。温度は下げすぎると体を冷やしてしまうから、汗が引くていどにとどめた。部屋自体さして広くもないのだから、美優の年齢分の温度でも冷えを心配したほうがいいくらいだろう。
 温度二〇。脳裡にふとそんな数字がうかんだ。美波の年齢とおなじ温度設定である。さぞ涼しいだろうが、そんなことをしたら体調をくずすのはわかりきっている。
 美優はくっと笑いを噛み殺した。
 そうだ。まだそんな年齢なのだ。今日飲酒デビューをしたばかりの、まだ二十歳になったばかりの年若い娘だ。ほんとうに、なにをしているのだろう。
 また美波がこちらを見ている。まっすぐにじいっとこちらを見ている。酔いから醒めた目を、この瞬間だけ美波は美優にむけてくる。
 美優はからになったグラスを床に置くと、壁にはりつけていた背をひきはがし、膝歩きに美波の枕もとにいった。
 視線が追ってくる。膝のあたりから、美優が近づくごとに美波の視線は徐々に上がってきて、やがて美優と目がかちあった。
 ――酔っているのか、いないのか。
 美優の酔った目にも思考にも判別はできない。いまの美優に正常な判断はできない。ふだんであれば酒に酔うことのない美波が、たとえ飲み仲間のなかでもっともまともな瑞樹さえ酔いつぶれていてもひとり正常な思考をたもっていて、正常な判断をしてくれるはずなのだが、この夜の飲み会の主賓は初めての酒のなかに、その清らかな心をひたしている。だからそれは期待できないし、酔っていようがいまいが正常でなくてはならないのは六つも歳が上の美優のほうだろう。しなければならないのに、したおぼえがついぞないあたり、このプロダクションの飲み会メンバーは自分もふくめてそうとうな部分をこのつい先日まで未成年だった少女にゆだねていた。おかしな話だ。
 ――ああそうだった。今日は瑞樹さん、都合がつかなくていなかったんだ。
 瑞樹がいればこういうことにはならなかっただろうか。そんなことを考えても、もう仕方のないことだが、美優はつらつらと考えた。
 美波のすこし乾きかけている唇に親指をおしあてて、考えた。たとえば、瑞樹がいればこんな失態はなかっただろうか。たとえば美波がまだ成人していなければ、いまここに彼女はいなかったろうか。
 左手を蒲団の上にのせて体重をかける。右手の親指をなぞらせると、唇の端のあたりで濡れた感触があった。指をはなすと美波の舌がほんのすこしだけのぞかれた。舐められたらしい。なぜ、とはわからない。それをいうなら自分こそなぜ美波の唇を指でなぞったのか。
「ねむれませんか」
 と美優は言った。
 あごがすこしだけうごいた。うなずいたらしい。
「ねむりたくありませんか」
 またすこしうなずかれた。
「そう」
 美優はつぶやいて、また唇を親指でなぞった。

 似ていると言われたことがある。そのことを思い出した。美優と美波はおもざしが似ているらしい。そんな話が俎上にあがったとき、同席していた美波のユニットの相棒はふしぎそうに首をかしげていたから、彼女にしてみるとまったく似ていないのだろうが、わりあいと多くの同僚から似ているという評判をもらっていた。
 プロダクションに入ったのは美優のほうが早かった。美優がほそぼそとドラマの端役をこなしているうちに、それよりあとに入って来た美波は一足飛びにCDデビューして、ライブも歌番組も経験して、サマーフェスのような事務所の大舞台にも立った。後輩と言ってもふたつの意味で遠い後輩だった。ひとつは美優には及びもつかない脚光をあびる位置にいること、もうひとつはさして親しくもないこと、美波は美優にとって遠く、まばゆく、それから頭上をかすめていく淡い存在だった。遠くにあったものを近くにひきよせたのはひとえに高垣楓というトップアイドルの酔いつぶれた醜態で、どうして当時未成年の美波との縁を楓の酒が繋げたのか、と考えると、このプロダクションはやはりどこか異常である。
 それはそれとして、実績と経験でいえば美波のほうがよほど先輩格にあたるかもしれない。そういう認識を美優は明確に持った。そう口にすると美波はもうしわけなさそうに笑うし、切れ目無くドラマの仕事がまいこんでくる美優のある種の安定性に敬意をあらわしてくれるのだが、やはり差はあるように美優には思われた。ドラマの仕事だってじきに彼女のもとにころがりこんでくるのではないか。
 きれいな髪が美優のつかいこんだ蒲団にざんばらに散っていて、オレンジの蛍光灯のなかで彼女の髪の色はどこか赤みがかって見えて、ようするにそれは美優の髪の色に近かった。
 ――そんなに似ているかな。そうでもないと思うけど。
 似ていないという感覚を証明するように、手の腹で頬を撫でた。頬の肉がやわらかくもちあがると、美波がくすぐったげに笑った。
 美優はまた同じことを考える。たとえば、瑞樹があの席にいたら、これまで起こった失態はなかっただろうか。あるいはこれから起こる失態もなかっただろうか。
 ゆっくりと体をかたむける。頭をしずめる。顔を近づける。唇をおとす。似ているといわれるが、それほど似ているとは思えない、美波の端正な顔にそこらじゅうに口づけて、さいごに彼女の唇を自分のそれでかすかにおしつぶした。
 似ている、と言われるのは、単純に顔のつくりが似ているのだろう。似ていない、と美優が感じるのは、やはり表情だ。美波のもつ闊達な性格をほとばしらせた表情が、あまりにも自分の陰気をひめた眉目と違っていて、いまひとつ重なるものを見だせないせいだ。
 いまはすこしちがう。いろんなことがすこしちがう状態にある。目も鼻も唇もいくらでも重なった。似ていないと感じるのはあいかわらずだが、お互いの目も鼻も唇も頬も、重ねたのだ。
 明日死にたくなるかもしれないと思った。きっと朝になったら後悔にまみれて死にたくなるにちがいなかった。自分の性格はそれなりに把握している。これからやろうとしていることを考えれば、明日はまちがいなく死にたくなる。
 でも仕方がない。世のなかにはあらがえない流れとか勢いとかがある。その勢いは激しさはなくても妙なちからづよさとか重量とかがあって、美優にはさからえない。
 だから、美優は顔をはなしたあと、美波のシャツのボタンを全部はずしていったし、その下のブラジャーのフックもはずした。上も下も全部脱がせて、自分も全部脱いだ。そうやってうす明るい部屋のなかにふたつの裸体をつくった。
 乳房に手を添えて、やんわり揉んでみた。美優を見るときだけはうつろさの消えていた目が、いまはぼんやりと美優の顔と手を交互に見ている。お互いにかってがわからないから、なにをすればいいのか、どう反応すればいいのか、確認しあうように、ひとつのことをするたびに顔を見あわせた。乳房を揉んでその先端を摘んで、腹を撫でて、あいまあいまにキスをした。美波が身をよじる。気持ち良さにふるわせているのか、気持ち悪さからのがれようとしているのか。
 似ている、とよく言われる。顔が似ていると言われる。顔のつくりが似ているのだと。表情やしぐさについては、あまりそういう評判は聞いたことがない。
 抱かれているときの自分はこんな痴態をさらすのだろうか。こんな媚態をみせつけるのだろうか。
 美優は一瞬だけそんなことを思った。一瞬だけ思って、それはすぐにめちゃくちゃに酔って乱れた思考のなかに消えていった。
 自分は酔っているのかいないのか、美優はもはや考えなかった。

 淫靡なうつくしさが美優の体の下におかれてある。それが新田美波が現在まとっている種のうつくしさであることが、信じられないことのように思われた。これは酒のせいなのか、もっとべつな、ただ情欲のためなのか。平生の美波がつねにたもっている清潔はどろどろに熔けて跡形もない。
 だれも……、ひょっとすると本人も知らなかった新田美波の顔だ。高潔からはかけはなれた、媚びるようにひそめられた眉の下に、潤んだ目がある、赤らんだ頬、熱を吐き出す唇、それだけではない。美優の首にまわされた手の温度も、美優から逃げるように、または美優をひきこむようによじられる腰も、ときどきあがるかすかな嬌声も――なにもかも、美波が二十年かけて堅固に構築してきたはずの理知性をまったく抛擲した姿のように美優には見えた。それはただし、美優にそう見えただけであって、とうの美波には、まだまだたくさんの棄て去って棄て切れないものがあるにちがいなかった。
 泥になったそれらを全部きれいにとりのぞいて出現した一個の巨大な欲望を抱くのが、いま美優のやらねばならぬことだった。すくなくとも美波はそれを、なりゆきとはいえ身を重ねあうことになった美優に期待している。この部屋に美優と美波以外の人間はいないし、美波に口づけ、服を脱がして、乳房に触れた人間もいないのである。
 蒲団になげだされたきりの美波の足の膝頭をつるりと撫でた。ひとつの合図だ。美波が膝を立てる。今度はぴたりとくっついている腿を撫でて、ひらかせた。あいだに自分の体をおしこむ。これでいちおう、ひとを抱く、というかたちがととのっただろうか。こんなことはかつて経験のないことで、手探りな部分が多すぎた。が、それでもそうやって、文字どおり手で探ってゆくしかない。いや、手でけではたりない。全身で探ってゆくのである。
 背筋がひりひりとする。この焼きつくような感覚はなんなのか。体が熱くて仕方がなかった。冷房はつけているはずなのに、さっぱり機能していないように感じられた。それなのに体をはなす気にはならず、むしろ美波に密着していった。乳房がぶつかりあってつぶれる。すこしずつ体の位置をずらしていって、美波の首に顔をうめた。なにをすればよいのか。首の皮を唇で食み、ちろと舐めた。それから下がって鎖骨にやんわりと歯を立てる。
 美波の吐く息の粘性はつよくなる一方だった。熱のこもったみじかい息を美波は間断なく吐いている。息苦しそうな感じはない。それならひとまずこれでいい、と美優は自分を納得させた。
 体をすこし起こして、美波の乳房をぐっとつかみ、揉みほぐした。先端を今度は指でなく舌でいじりまわす。舌先でころころところがすと、はじめて、はっきりと聞こえる大きさの声で、美波が喘いだ。
 その声に反応して、一度は美優からかき消えた思考がまた蘇ってくる。彼女と似ている自分は、抱かれているときも、彼女のようなのだろうか。経験がないからわからない。こんな声をあげる自分を美優はまったく想像できない。
 腹部に手をすべらせると、臍の下のあたりを親指以外の四指の腹で数回おした。
 また、声があがる。
 その声を聞いて、しばらくそこを押しつづけた。声が吐息に変わったあたりで指の位置をさげて、そこを押す。押して、声を聞いて、息を聞いて、指を下げて、下げたところで指を押して、それをくりかえしてゆくうちに、あきらかに指先にかかる感触が変わった。うぶ毛が消えて、もっと濃いべつのものになった。処理をしたばかりなのか、ちょっとちくちくしたのが、美優にはなんとなくおかしくて、思わず唇の端に笑みをつくった。その笑みは美波には見えない。
 いっそうやわらかく繊細になった皮膚を中指と薬指で押す。場所が場所なせいですべての指をつけることはできなかった。
 角度をすこしかえてすべりこませると、ようやく、といってよいものか、指先が濡れた。濡れたそこに指が触れたということでもあった。
 たぶん、自分もそうなっている。あとで交替して美波に触ってもらおうか、そんなことを思ったが、きっとそのまえに疲れて眠ってしまうと思った。自分か、美波かはわからないけれど、そのあたりはほとんど確信できた。とりあえず折衷案として、
「つづき、自分でやる?」
 と言ってみたが、とたんに怨みがましい目をむけられた――これもたいがい彼女らしくない色の目だ――ので、採用されることはなかった。彼女が自分でやってくれたら、美優のほうは美優のほうでかってに処理できるのだが、ものごとはそう都合よくいかない。
 なかの浅いところに指をほんのすこし、さしいれた。そこをゆるくかきまぜているうちに、美波の体が上下にはげしくうごくようになった。顔を横にむけ、眉間に皺ができるほどぎゅっと目ととじて、歯を噛み締めて、その隙間から、苦しそうに息を吐いている。
 ――ああ、これは。
 体内にあるなにかをゆらして、べつのところにうつして、そのまま体外に出そうとしているのだ。美優にはわかった。美波は逃げている。これは快感から逃げているうごきだ、とわかった。美優はいったん指を出すと、
「まだ残ってる、理性とか知性とか、棄てたいんでしょう? なら、棄てましょう。どうせこれっきりで、明日からはなにもないですから」
 と美波の耳もとに唇をもっていってささやいた。
 この期におよんでまだ残っているらしいそれらは、棄て切ってしまってほしい。
「声をがまんしたくなるの、わかります。あなたがそういう子なのも知っています。でも、それだと、わたしがなにもわからないから、なにもできなくなってしまう。だからおねがい」
 喉もとでぐっと堪えている溢れそうな声を溢れさせて、おしえてほしい。どこがよいのか、どうよいのか、なにをしてほしいのか、なにをされてよかったのか、すべてを。そう言った。
「美優さん。……」
 名前を呼ばれた。そむけられていた顔がこちらをむいている。目はまるで正気にもどったみたいにきらきらとかがやいてみえるのは、ただ涙で潤んでいるせいだろうか。
 美波がやったことといえばそれだけだったが、それはそのまま、美優のことばを美波が全身にうけとめたということにほかならなかった。
 うなずいて美優は目もとをうすい笑いで染めた。すると美波も笑った。ふしぎなことにその笑貌は童女のように無邪気なものだった。
 美優はふたたび美波のなかに指をしずめた。浅いところではなくもっと深いところ、狭いそこに、ずぶりと人さし指と中指を突き入れ、二本の指でおしひろげるように、襞の多い内側をおかしてゆく。
 美波の喉が鳴った。痛みに顔をゆがめているのが見えた。
 見てわかることなのに、痛いですか、と思わず訊きそうになって、口をつぐんだ。痛い、と答えられたらやめるのか、やめないだろう。痛くない、と答えられたら、やはり続行するだけだ。
 そのあたりの気づかいはやめた。それより声を出させることに集中しようとした。喉が鳴っている。それは声というより音である。その音が、声に変わるまで、入れたままの二本の指をかきまぜた。襞をひっかき、指を曲げたりのばしたりして、壁をおしひろげる。抜き差ししながら、おなじことをくりかえした。そのうち指の股が入口にひっかかって、美優はあわてて引き抜いた。奥の奥まで入れる必要はない。入れる必要があるとすれば男性の性器であって、それは男性側の都合にすぎず、女性自身にはその最奥に快楽を得る機能はないはずだから、女性同士の性行為でそこまで奥まったところにいってもさして意味はない。
 ひょっとして、そういうふだん意識しないところにある常識を、完全に忘れさせてしまうことを、自分たちはいまやっているのだろうか。
 わからないのだ。まるっきり経験がないので、やはりかってがわからない。
 美波の喉から出る音が、はっきりとした嬌声に変わった。声からは苦痛の色がうすれて、快楽の色をやどしているようだった。
 まずいやり方はしていないようで、美優はほっと息を吐いた。
 美優が指をうごかすと、美波の体がはねる。足の指で敷蒲団を噛んで、腿のあいだにはさまっている美優の体にしがみついてきた。
 限界が近い、と腰にかかる圧迫感がおしえてくれた。
「美波ちゃん、ねえ」
 もう抑えることを放棄した喘ぎ声をひっきりなしにあげる美波が、いぶかしげに美優をのぞきこんだ。
「わたし、たぶん明日の朝は自殺したくなると思うから、とめてくださいね」
 美優は口に苦いものを噛んだみたいに笑いながら言った。
「え……」
 呆けた声を無視した。いや、無視はしなかった。ただ、聞きたいのはそんな声ではない。指の腹で内側をたたく。美波ではなく自分のゆったりとした呼吸にあわせて、とん、とん、とたたく。聞きたいのは――
「みゆ、さんッ……、あっ、うあっ、ああっ……」
 美波は果てた。

 美優の思っていたとおり、このあとはふたりとも疲れて眠ってしまったから、翌朝起きたとき、美優は死にたいと思うよりさきに下腹部のもどかしさをどうにかしたいと思い、風呂場にいって、鏡に映る自分の顔を見て、それからすみやかに死にたくなった。

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